ボツ原稿その4:「電気ストーブ」

19歳の頃、ギターを買って「電気ストーブが欲しい」という歌を若さにまかせて作ってしまったのだが、時を同じくして同じアパートのクレイジーな同棲カップルが電気ストーブを譲ってくれた。彼らのケンカは壮絶であった。ドツキ合い、物を投げ合い、時には包丁が飛んだ。
そういう二人が使っていたストーブなので外観はボコボコで、使っていると時々ホコリではない何かが焦げたような異臭がする。そんな問題アリなストーブではあったが、暖房機能については問題がなかったので、その後長きに渡って使用し、大変思い出深い一品となった。
私は、このストーブで二度の悲惨な火傷を経験した。
一度目は24の冬であった。酔って帰ってきて布団に入るのが面倒だったので、ストーブに密着して寝たのだが、密着しすぎて、目覚めたらスネのあたりにナメクジ大の水脹れが出来ていた。慌てて病院に行って事情を話したら、看護婦に爆笑された。
二度目は30の冬であったが、疲れてきたので、またの機会にダラダラと語りたい。
ちなみに、この電気ストーブは今も大切に使っている。
ボコボコ度は若干増した。