田舎に帰る

古い友人のキャタヤマからメールが来た。
正月には田舎に帰るのか?帰るなら会おう、という内容だった。
ここ数年はキャタヤマからのメールや電話を無視していたのだが、久々に会ってもいいような気がして、多分会えるでしょう、と返しておいた。


キャタヤマには母親の記憶がない。
幼い頃に両親が離婚してしまったのだ。
8年ほど前のことだった。茨木の白木屋で、キャタヤマが、母親の居場所が分かったのだが会ってもいいのだろうか?と相談を持ちかけてきた。
そんなこと知るかとおもいつつも、会うべきだ、子供に会いたくない母親などいない、などと適当に答えた。


その夜は飲みすぎたのでキャタヤマの家で寝た。
キャタヤマは寝言で、「母さん」と言った。


これ以上切ない寝言を聞いたことがない。